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マルサの対象となる税務調査とは?国税局査察部の調査実態についてわかりやすく解説!
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
「マルサが税務調査にやってきた」「国税局の査察部が乗り込んできた」こうした状況は、どのような場合に起こるものなのでしょうか。
ここでは、マルサの概要やマルサが行う税務調査と通常の税務署が行う税務調査の違いに加え、マルサの調査目的や調査実態などについて解説しています。リョウチョウやマルサが入っていて、1人では不安なので相談がしたい方は税理士法人松本までご相談ください。
目次
そもそもマルサとは?
テレビや映画などで時々聞くことのある「マルサ」とは、どのようなものなのでしょうか。
国税局の査察部を表す言葉
マルサとは、国税局の査察部などの部署や、査察部が扱う事案などを表す言葉です。査察の「査」を丸で囲んで「マルサ」と読む俗称で、1980年代にヒットした映画「マルサの女」で広く知られる言葉となりました。
マルサの女以外でも、テレビドラマやニュースなどで急に会社へ国税局の査察官が押しかけてきたり、ダンボールいっぱいの資料やパソコンなどを押収したりする光景を見ることがあります。
悪質な脱税行為に対して行う犯罪捜査を担う
マルサでは、大口かつ悪質な脱税や犯罪行為が疑われる事業者に対して調査を行います。
この調査は「強制捜査」と呼ばれる犯罪捜査となっており、適切な納税を指導する目的で行われる通常の税務調査とは異なるものです。
マルサが行う税務調査は「強制調査」となる
国税局の査察部が行う税務調査は、事前に何の連絡もなく、ある日突然多数の査察官がオフィスや自宅に乗り込んでくる「強制調査」となります。
動員される査察官の人数が100人を超えることも珍しくなく、大規模な一斉調査となることが多いでしょう。
マルサの捜査と通常の税務調査の違いは?
マルサが行う犯罪捜査と通常の税務調査には、以下のような違いがあります。
「任意」か「強制」かの違い
普段税務署が行っている税務調査は、事前連絡や協力、同意を得て進んでいく任意調査であるのに対して、マルサの調査は事前連絡も同意を得ることもなく、強制的に行われます。
通常の税務調査が、納税者の正しい申告や間違いがあった場合に指導することなどが目的です。これに対して、強制捜査は脱税や犯罪行為に対する証拠がある程度押さえられている「裏が取れた」状態で実施されるものとなります。
国税犯則取締法で定められた犯罪捜査であるため、証拠の隠ぺいや逃亡を阻止する目的で、事前連絡や同意なく行われるのです。
「税務署」か「国税局査察部」かの違い
通常の税務調査(任意調査)は管轄の税務署が行い、強制捜査は国税局査察部が行います。
任意調査で訪問する調査官は1~数名であるのに対して、強制捜査では100~200人の調査官が投入されるため大規模です。
国税局が行う任意調査もありますが、次章で詳しく解説します。
マルサの調査目的は?強制捜査以外にどんな調査がある?
一般的に行われている税務調査とマルサの強制捜査との違いがわかったところで、マルサの対象となる税務調査やその目的などについても見ていきましょう。
マルサの捜査は検察への告発が目的となる
マルサが行う強制捜査は、検察官への告発が目的となる犯罪捜査です。そのため、差し押さえや強制的な立ち会い捜査(臨検)などについて、裁判所から許可を得て査察調査に臨んでいます。
マルサが捜査を行った後に検察官へ告発する確率は7割ほどとなっており、告発された多くの事例で有罪判決が出ています。
国税庁令和2年度査察の概要
マルサ以外にもある!国税局の調査
上記のような犯罪捜査だけでなく、国税局では主に資料をメインとした調査や、任意調査を行う部署も存在します。国税局の資料調査課は「リョウチョウ」と呼ばれ、マルサの対象とするべきかの選定や犯罪の悪質性などについて調査をする部署です。
リョウチョウからの調査は任意調査の形を取っており、マルサほどの強制力はないものの、事前連絡なく訪問される無予告調査である点はマルサと同様で、訪問する調査官も数10人規模となることが多いようです。
どんな時にマルサの対象となるの?
不正を行っているすべての納税者がマルサの対象となるわけではありません。しかし、一定の条件にあてはまる場合には、事前調査の段階で捜査対象としてピックアップされやすい可能性があります。どのような条件に該当する場合に、マルサの対象となりやすいのでしょうか。
目安は「1億円」
マルサの捜査対象となる可能性が出てくる目安として、1億円という単位がキーワードとなることがあります。
マルサの捜査は人員数も規模も相当大きいため、強制捜査に踏み切って検挙できる不正総額が1億円ほどなければ、費用対効果を上げにくいとされているからでしょう。
所得2,000万円以上の税務調査も対象に
もう1つ、通常の税務調査で不当な所得金額が2,000万円相当あると思われる事例については、税務署から国税局へと管轄が変わる場合があります。
国税局の捜査対象となっていなくても、税務調査の内容について、税務署から国税局まで詳細が報告されている可能性はあるでしょう。
小規模でも消費税の脱税には厳しい捜査の手が及ぶことも
「うちは1億円も扱うほど規模が大きくないから大丈夫」「所得は2,000万円よりも少ないから安心だ」と思うのはおすすめしません。
中小規模の事業者が増えている近年においては、上記で挙げたほどの所得や売上がなかったとしても、マルサの対象となる可能性があるからです。
税務署や国税局は、特に消費税の脱税行為について厳しく取り締まる傾向にあります。脱税を疑われるような時期に急に貯蓄を増やしたり、取引先がマルサの対象となったりした場合、小規模の事業者であっても、厳しい捜査の手が及ぶ可能性もゼロではないでしょう。
ひとたびマルサの強制捜査が行われてしまえば、有効な手立てを取ることは難しいものです。しかし、税務署の税務調査や国税局の資料調査課からの調査であれば、1度税理士に相談してみるとよいでしょう。
まとめ
マルサとは国税局の査察部や強制捜査のことを指しており、悪質かつ大口な脱税や不正といった犯罪行為を取り締まる目的でマルサの捜査が行われます。
1億円規模の不正や、税務署の税務調査で2,000万円を超える不正所得の疑いがあった場合に、マルサの対象となりやすいと言われています。しかし、近年ではもっと小さな規模の不正でもマルサの手が入る可能性もあるのです。
税務調査や国税局のリョウチョウからの調査段階であれば、税理士へ相談してみましょう。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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