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建設業の税務調査で押さえておくべきポイントとは?
この記事の監修者
税理士法人松本 代表税理士
松本 崇宏(まつもと たかひろ)
お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。
建設業は、税務調査が入りやすい業種の1つです。建設業に税務調査が入りやすい理由としては、建設業の会計処理方法が他の業種とは異なり、独自の方法で行われていること、また曖昧な会計処理を行っている会社が多いことなどが関係していると考えられています。
建設業の税務調査では、どのような点の指摘を受けやすいのでしょうか。
今回は、建設業の税務調査におけるポイントをご紹介します。
これから税務調査が入り、税理士の立ち会いを依頼したい方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。
目次
建設業の売上計上までの流れとは
建設業の税務調査では、正しく申告しているかを確認するために、売上を計上するまでの流れをチェックされます。建設業が代金を獲得するまでには、複数の段階があります。税務調査では、このそれぞれの段階において、お金の動きを正しく表す書面や記録が残っているかを細かく確認し、不正な申告が行われていないか、申告されている所得額に問題がないかを調査していきます。
建設業が売上を立てるまでの主な流れは、以下のとおりです。
1. 工事の見積書を発行する
2. 発注者から工事の注文書を受領する
3. 工事の注文請負書を発行する
4. 工事請負契約書を作成し、契約を締結する
5. 工事を開始する
6. 工事完了後、引き渡しを行う
7. 工事代金の請求書を発行する
8. 発注者から工事代金が支払われる
建設工事の売上を計上するタイミングは、6の工事完了後のタイミングです。
(※一部引き渡しや工事が長期間になるため、上記とは異なる計上基準がいくつか存在します。)
売上を計上する際に、特に注意しなければならないのが未成工事支出金です。未成工事支出金とは、まだ完成していない工事にかかった材料費や外注費などの費用のことです。建設業では、工事に長い時間がかかります。注文を受けて、工事を開始してもその年度に工事が完了しないことも度々あるため、他の業種のように1年で業績を計算しにくいという特徴があります。したがって、建設業では工事が会計年度の前に完了していない場合、工事にかかった費用は未成工事支出金として次年度に繰り越すことになるのです。
建設業の税務調査で指摘されやすいポイント
建設業の税務調査で指摘されやすいポイントには、次のようなものがあります。
・未成工事支出金を損金に計上していないか
先ほど説明したように、まだ終わっていない工事にかかった材料費や外注費などの費用である未成工事支出金は、工事を開始した年度中に損金で落とすことはできません。工事原価は、工事が完了し、引き渡しを終えてから損金として計上できるものです。しかしながら、建設業者の中には未成工事支出金を工事開始事業年度に合わせて計上している場合があります。未成工事支出金が計上されると、売上から差し引くことができる経費が多くなるため、利益操作につながるとみなされます。そのため、建設業の税務調査では、まだ工事が終わっていないにもかかわらず、工事原価が今期の損金として計上されていないかのチェックが行われます。
・売上を引き渡しのタイミングで計上しているか
建設業において、売上は引き渡しのタイミングで計上するものです。決算期日ギリギリに工事が終わり、実際には翌期に請求書を発行したとしても、売上自体は引き渡しの日時で計上しなければなりません。反対に、工事が完了して引き渡しをしているにもかかわらず、請求書を発行していないケースも注意が必要です。
また、追加工事が行われた場合も、売上は本体工事の完了時に計上しなければなりません。追加工事が完了したタイミングで売上を計上した場合、利益を少なく見せかけ、課税額を抑えるための操作をしたとみなされる可能性があります。
建設業の税務調査では、売上のタイミングについても書類を確認しながらチェックされることが多くなります。正しく売上を計上していることを証明するためには、請求書の発行日だけでなく、工事完了日や引き渡しの日付も明確に記録し、すぐに確認できるようにしておきましょう。
・従業員に支払った人件費を外注費として計上していないか
建設業の税務調査では、外注費もチェックされやすいポイントです。外注費とは、本来、会社外の法人や個人と業務請負契約を結んだ際に相手方に支払われる費用です。
しかし、建設業の会社の中には、雇用契約を結んだ従業員に支払う給与を外注費として計上している場合があります。給与として計上した場合、給与には消費税はかかりませんが、外注費として計上すると、外注費には消費税がかかります。支払った消費税分は自社が納める消費税額から差し引くことができるようになっています。税金として納める消費税を抑えることができるため、本来は給与として計上すべき費用を外注費と計上している会社があるのです。
このような場合は、税務調査において消費税が追徴課税され、所得税の源泉徴収漏れが指摘されるでしょう。
・プライベートな費用を経費扱いにしていないか
建設業者の中には、社長がプライベートで楽しんだ飲食費用やゴルフ費用を経費として計上している場合があります。また、プライベートで使用する物品の購入費用を交際費として計上しているケースもあります。
経費として計上できる費用は、事業に関連して使用した費用のみです。プライベートな用途に用いる物品の購入や遊興費は、経費には計上できません。特に中小企業や家族経営の建設業者などでは、社長や役員の経費が曖昧になっている場合があり、税務調査ではこの点も細かく指摘されやすいポイントです。
まとめ
建設業は、税務調査が入りやすい業種だと言われています。建設業の税務調査では、未成工事支出金を次年度の損金として計上しているか、売上計上のタイミングを工事完了日に合わせているか、給与を外注費として計上していないか、プライベートな出費を経費として計上していないかの4つのポイントが指摘されやすい傾向にあります。建設業の会計は、複雑でありかつ独特な方法で行われますが、税務調査で指摘されやすいポイントをしっかりと押さえ、日頃から正しく帳簿付けを行うようにしましょう。
また、税務調査の通知が入った場合は、税理士法人松本までお気軽にご相談ください。建設業界の税務調査に詳しい担当者が税務調査に立ち会い、税務署の調査官の指摘にも的確に対応させていただきます。
税理士法人松本は国税OB・元税務署長が所属する税理士法人です。
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