2023.07.15
  • 税務調査
  • 無申告

農業の税務調査は売上の計上漏れや外注費の指摘を受けやすい?

この記事の監修者

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

松本 崇宏(まつもと たかひろ)

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。
国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴課税ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

今、農業を営んでいる個人や法人に対する税務調査が増えていることをご存じでしょうか。農業で得た収益やかかった費用などを正しく申告せず、どんぶり勘定で確定申告を行っていると、税務署から所得隠しの疑いをもたれてしまう可能性があります。
今回は、農業従事者への税務調査が増えている背景と、農業の税務調査において指摘されやすい計上漏れや外注費など、確定申告時に注意すべき点をご紹介します。
税務調査が入り1人での対応に不安を抱えている方は税理士法人松本までお気軽にご相談ください。




農業の確定申告の仕方

農業による所得は、事業所得の中の農業所得に該当します。農業所得を得ている人は確定申告を行い、1年間の所得額を申告して然るべき所得税を納付する義務があります。農業の税務調査についてご説明する前に、まずは確定申告について確認しておきましょう。

農業所得とは

農業所得は、農業で得た利益です。農業による収入金額から農業のためにかかった経費を差し引いて計算をします。青色申告を行うと、青色申告特別控除額も収入から差し引くことが可能です。

農業の収入

農産物を販売して得た金額のほか、小作料受取金や出荷奨励金・補助金・交付金などを受け取った場合にはその額も収入に含めて計算をします。

農業の必要経費

農産物のタネや苗の購入代金、肥料や農薬の代金、農機具を購入した場合の代金、人を雇っている場合には給与などの人件費、農地の固定資産税、農地を借りている場合は地代、農機具やビニルハウスの燃料費、防虫ネットやマルチ、縄などの費用などが経費に該当します。

税務調査とは

税務調査とは、納税者が正しく所得を申告し、正しく税金を納めているかを調べる、税務署による調査です。脱税の疑いがある場合には突然調査が入る強制捜査が行われますが、正しく納税しているかを調査する場合に行われるのは任意調査です。任意調査の場合は、急に調査が行われることはなく、税務署から調査の前に事前通知が行われます。

農業の税務調査が増えている理由とは

これまで、農家は長い間、農協を通して農産物を出荷していました。しかし現在では、農協を介さずに、農産物を道の駅やインターネット販売などで消費者に直接的に販売する人が増えています。その結果、農家や農業法人の中には、道の駅やネット通販での所得を申告しなかったり、わざと所得が低いように見せかける所得隠しを行ったりといった、不正な申告を行うケースが目につくようになってきました。
農協を通して出荷をしていた時代は、確定申告時には農協に出荷額などのデータがあったため、農家の所得額を把握しやすい状況でした。しかし、農協を介さずに自主ルートで販売するようになると、各個人や法人が農産物の販売によってどのくらいの所得を得ているのかを把握するのが難しくなってきたのです。
そのため、これまでは税務調査が行われることが少なかった農業の分野も正しく納税することが求められるようになり、積極的な税務調査が行われるようになってきたわけです。

農業の税務調査で指摘を受けやすいポイント

農業の税務調査で指摘を受けやすいポイントは、売上の計上漏れと外注費の取り扱いの仕方です。

売上の計上漏れについて

過去の報道によると、農業の税務調査では売上を過少に申告した例として次のようなものが紹介されています。
・道の駅で得た販売額を実際よりも少なく申告していた
・インターネット通販によって得た金額を計上していなかった
・売上金額を少なく記載したウソの明細書を使って、売上を過少に申告していた
・確定申告時に必要となる帳簿の記載が行われておらず、どんぶり勘定で申告していた

外注費とは

農業の税務調査においては、外注費についても指摘を受けることが多くなっています。外注費を多く計上すれば利益を圧縮することができるため、所得を低く抑えるために外注費を操作しているケースが少なくないからです。実際には作業を外注している実績がないにもかかわらず、外注費を支払ったように見せかけているケースや、外注費を一旦支払った形をとった後に、個人口座に支払った額を振り込ませているケースなどが発覚しています。
また、農業法人の役員や従業員が行った農作業に対して賃金を支払う場合、これは外注費ではなく給与とみなされる可能性があります。本来、外注費とは専門の技術者など外部の法人や個人と請負契約などを結び、外部に委託した業務に対して支払われる費用です。したがって、法人に所属している役員や雇用契約を結んでいる従業員が行った業務に対して支払われる費用は、一般的に給与として扱われます。
外注費と給与では、課せられる税金に違いがあります。外注費には消費税がかかり、納付すべき消費税の額から外注費にかかった消費税分を差し引くことができます。一方、給与の場合は消費税がかからないため、外注費のように納付すべき消費税の額を減らすことはできません。また、給与の場合は所得税の源泉徴収が必要となります。
このように本来は給与として扱うべき経費を外注費として処理した場合、源泉所得税と消費税に関わる部分で問題が生じてきます。税務調査によって外注費の指摘を受け、本来は納めるべき源泉所得税を納付していなかったり、消費税の納付額が不足していたりすることが発覚すると、正しい税額に加算税や延滞税を加えた額の税金を納付するよう求められるリスクがあります。雇用関係にある人や、法人の役員に支払う費用の取り扱いには注意が必要です。

まとめ

農業も多様化し、これまでの農協へ出荷するというやり方だけでなく、道の駅での販売やインターネット通販での販売など、農作物の販路が拡大してきています。そのため、農協以外に出荷して得た農業所得が正しく申告されていなかったり、必要経費を不正に計上していたりというケースが多く見受けられ、農家や農業法人への税務調査が増えています。確定申告の際には、農協への出荷以外で得た収入も正しく計上し、外注費の扱い方にも注意をしましょう。
任意調査の場合は、いきなり税務調査が行われることはありません。もし、税務調査の通知があった場合はすぐに税理士法人松本にご相談ください。税務調査に詳しい税理士が調査の日時に立ち会い、税務調査官からの質問にも適切に対応いたします。ぜひお気軽にお問い合わせください。





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